高校に入学したばかりの頃。
生活のリズムは、中学校とは少し変わっていた。
朝は八時に家を出る。
それから授業を受けて、放課後は部活。
家に着くのは、だいたい十八時前。
一日が、少し長くなった。
それでも最初は、今まで通りで大丈夫だと思っていた。
朝、家を出る前に一度トイレに行く。
それで帰るまで持つ。
中学校のときと同じように。
実際――できてはいた。
授業中に困ることはほとんどないし、
昼休みも、特に問題なく過ごせる。
ただ、少しずつ変わってきたのは――
放課後だった。
授業が終わって、部活に向かう頃。
そのタイミングで、ふと意識する。
「……ちょっと、行きたいかも」
強いものじゃない。
でも、確かにそこにある感覚。
今までは、帰り道で感じていても、家についてトイレに入れた。
今まで以上の時間我慢しなきゃいけないのは、お腹が膨らむことで意識した。
部室へ向かう廊下を歩きながら、私は何度も確認する。
「まだ大丈夫」
そう、自分に言い聞かせる。
実際、まだ余裕はある。
我慢できないほどじゃない。
少し気になる、くらい。
文学部の部室に入ると、いつもの空気がある。
先輩たちのゆるい会話。
机の上に積まれた本。
静かにページをめくる音。
その中にいると、不思議と意識は少し薄れる。
話を聞いたり、本を読んだりしているうちに、
さっきまで気になっていた感覚が遠のいていく。
でも、完全に消えるわけじゃない。
ふとした瞬間に、戻ってくる。
姿勢を変えたとき。
立ち上がったとき。
帰る準備をするとき。
そのたびに、思い出す。
「やっぱり、少し溜まってる」
そう感じる。
帰り道になると、それはもう少しはっきりする。
でも――まだ耐えられる。
「ここまで来たら、もう家まで我慢する」
そう思える程度には、余裕がある。
だから私は、そのまま帰る。
歩いて帰るときでも、少しだけ意識しながら。
でも焦るほどじゃない。
あくまで、“気になる”くらい。
家に着いて、玄関のドアを閉めたとき。
その瞬間、やっぱり少しだけほっとする。
「大丈夫だった」
今日も、問題なく過ごせた。
我慢できた。
家に入ると我慢していた尿意が急に高まり
急ぎ目で自分の部屋に入り荷物を置き制服のままトイレに向かう。
本当なら着替えてトイレに行きたかったけどそんな余裕はなかった。
早足でトイレに向かい、鍵をしめたら我慢していたものを出し切る。
出している間は1日我慢できた安心感と解放感が入り交じり気持ちよかった。
制服を整えトイレから出ていく。
まだ、この生活は崩れていない。
少しきついと感じることはあっても、
ちゃんとコントロールできている。
――そう思っていた。
このときは、まだ。

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