高校で初めてできた友達|買い物で気づいた「私だけトイレへ行かない」日常【実体験】

高校に入学したとき、少しだけ不安があった。
同じ中学校で仲の良かった友達は、みんな別の高校へ進んでしまったからだ。

新しいクラスには、他の中学校から来た子たちばかり。
知り合いはほとんどいない。
他の子と違って何かやりたいことがあって進学先を選んだわけでもなく。
男性の目がなく、家から近くてトイレ我慢しやすいからっていう変な理由で選んだ負い目もあった。
もともと引っ込み思案な性格の私は、「ちゃんと馴染めるのかな」と、どこかで身構えていた。

そんな私が変わるきっかけになったのが、部活だった。

部活に入ると、同じ時間を過ごす人ができる。
部活の合間に少し話したり、帰り道が一緒になったり。
無理に話題を探さなくても、自然と会話が生まれていった。

気がつけば、名前を呼び合う友達ができていた。
あんなに不安だった高校生活が、いつの間にか楽しいものに変わっていた。

ある日、部活の友達数人と一緒に買い物に出かけた。
みんなでお店を回りながら、「これ似合いそう」「こっちの方がいいかも」なんて言い合う時間が、とても新鮮で楽しかった。

歩き回っているうちに、一人が「ちょっとトイレ行ってくるね」と言って列を外れる。
しばらくして戻ってきたかと思えば、今度は別の子が「私も行ってくる」と軽く手を挙げる。

誰かが行って、戻ってきて、また別の誰かが行く。
そんな流れが、ごく当たり前のように繰り返されていた。

そのたびに私は、「私は大丈夫」と、いつも同じように答えていた。

特に気にした様子もなく、みんなは「じゃあ待っててね」とか「先見てていいよ」と、それぞれ自由に動いていく。
誰も深くは気にしないし、私も気にしていないふりをする。

気がつけば、その日一日、
みんなが一度はトイレに行っている中で、私だけが一度も行っていなかった。

――いつも通りだな、と心の中で小さく思う。

それでも、誰かが戻ってくれば、またすぐに会話が始まる。
笑いながら次のお店へ向かって、楽しい時間は途切れない。

今までは母と一緒に行っていた買い物も、いつの間にか友達と行くようになった。
下着も同じだ。
以前はシンプルなものばかり選んでいたけれど、友達と一緒に選ぶうちに、少しずつ可愛いデザインのものに手が伸びるようになった。
白のジュニア系から、パステルカラーや模様が入ったものに変わっていった。

そんな変化に気づいた母は、「年頃ねぇ」と少し笑いながら、
「ほどほどにしなさいよ」と軽く言った。

その言葉に、少しだけ照れくさくなりながら、
ああ、自分はちゃんと高校生活を歩き始めているんだな、と感じた。

部活に入ってよかったと、今は素直に思う。

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