新入社員のトイレ事情⑧ 翌朝の朝食

彼女がトイレから戻ってきた時には、さっきまでの切羽詰まった様子がかなり落ち着いていた。

でも、どこかまだ恥ずかしそうで。

「お手洗い、ありがとうございました……」

なんて律儀に言ってくる。

私は思わず笑ってしまう。

「別にお礼言うようなことじゃないよ」

そう返しながら、冷蔵庫から材料を取り出した。

「朝ごはん、飲んだ次の日だし軽いスープ系でいい?」

そう聞くと、彼女は少し困った顔をする。

「いや、その……これ以上迷惑かけるのも……」

かなり遠慮している。

でも、ここまで介抱したあとに今さらそんなことを言われても、という気持ちの方が強かった。

私は苦笑しながら肩をすくめる。

「ここまできたら今さらじゃない?」

「一緒に食べましょうよ」

そう言ってから、ふと思い出して聞いた。

「それとも今日、何か予定ある?」

すると彼女は小さく首を横に振る。

「今日は特にないです」

「じゃあいいじゃない」

私がそう返すと、彼女は少しだけ安心したように笑った。

私は鍋に火をかけながら続ける。

「朝ごはん準備してるから、その間シャワー浴びてきたら?」

その言葉に彼女は少し迷ったあと、小さく「……お借りします」と頭を下げて浴室へ向かった。

その後ろ姿を見送りながら、私はなんとなく昨日のことを思い出す。

酔ってふにゃふにゃになっていた姿と、今の恥ずかしそうな姿。

同じ人なのに、かなり印象が違う。

しばらくして、シャワーの音が止まる。

そして髪を軽く拭きながら彼女が戻ってきた。

さっきよりかなりすっきりした顔をしていた。

ただ、どこか落ち着かない様子でもある。

「あの……」

少し言いづらそうに視線を逸らす。

「そういえば、服とか下着ってどこですか……?」

私はその質問に普通に答える。

「服はしわになるといけないからハンガーにかけてるよ」

「下着は畳んで置いてある」

そう伝えてから、

「帰る時に着替えればいいんじゃない?」

と言うと、彼女はさらに気まずそうな顔になる。

そして少しだけ頬を赤くしながら、

「えっと……ブラがないと、その……落ち着かないし……」

「見えちゃいますよね……」

と小声で言った。

私はその反応がなんだか可愛く見えてしまって、思わず少し笑う。

昨日はあんなに無防備だったのに、今はちゃんと羞恥心が戻ってきている。

そのギャップが妙に微笑ましかった。

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